飛鳥の四季


前のページへ 次のページへ
Page 01 02 03 04


秋が去るのは早い。
赤や黄色の葉は既にステージ上にはいない。地面に重なり,フィナーレをむかえる。
あんなにたくさんいた観光客もまばら。すれ違う人に挨拶することもない。
間近に迫る冬は,行き来する人の背丈を短くし,動きさえも遅くする。
「風邪をひかないで」と息子を見送る母の声を聞いた。
目に映る色はだんだん暗くなる。
木々の枝は何かしら堅くなってきた。
「寒っ」って初めて言った。
でも,飛鳥の風景は人の心までは冷たくしない。
飛鳥が真っ白になるとき,静けさという音が聞こえる。シーンという音が聞こえる。というか,感じるのか。でも,本当に聞こえるから不思議だ。周りの音を雪が吸収してしまうから,シーンとする。
シャッター音が低音で響いている。
仲の良さそうな二人が石舞台の雪を踏む。巨石は手をつないでいた二人を隠した。ドラマチックな瞬間だった。
もう少し早く来れば,石の上にはたくさんの雪が積もっていたはずです。家からここまで来るのに時間をかけすぎました。とけてしまったようです。ところどころシャーベットができ始め,歩くと裾が汚れます。今いるところは草の上。まだサクッという音がしています。
古代にストーブやこたつのような暖房はないですね。じゃあどのようにしてこの寒さを耐えていたのでしょうか。考えられるのは重ね着と焚き火ですが。宮の周りに焚き火場所をたくさん設けていたのでしょうか。板葺きの屋根,板張りの床では寒いに決まっています。オンドルなどの朝鮮式の床暖房があったと考えてもいいかもしれません。現に高取町で5世紀の遺跡からオンドルと考えられる跡が見つかっているのです。

飛鳥の扉目次ページへ 前のページへ 次のページへ
Page 01 02 03 04